ただあなたの笑顔が見たくて。

子育て

お姉ちゃんはよく眠る子だった。

だからママにとってはそれが“普通”のことだった。

だけどあなたが産まれて

朝も夜も関係のない日常に変わり

ママの中での“普通”が崩れた。

「ふぇ」の声が聞こえただけで

体が反応するようになり

またか…今何時だ…?と時計を見ては

夜中の2時3時なんてことも

ザラにあった。

抱っこしても泣き止まない。

海老反りになって反抗するあなたを

何度も落としてしまいそうになった。

それでも起きないパパに

たまにはかわって!と

寝息を立てながら夜~朝まで眠れる環境が

凄くうらやましかったし、イライラした。

毎日、毎晩、おっぱいと寝ているとき以外は

ずっと泣いていた。

オーバーに聞こえるかもしれないが

当時のママにはあなたの笑顔よりも

泣き顔のほうが鮮明に記憶に残っている。

本当にしんどかった...。

毎日あることでもこればかりは

慣れることはなかった。

泣くあなたをみては

「なんで泣いてるの?」とイライラが募る日々。

腰が座った7か月頃になると

嫌なことや思いの伝え方が

自傷行為へと変わっていった。

自ら床や壁に頭をゴンゴンと

打ち付けては泣き。

虐待なんじゃないかと思われるくらい

頭はあざだらけコブだらけになった。

あまりにもその行為は唐突に始まるので

足であなたと床の間に割り込み

止めたことも何度もあった。

見えない未来…。

不安ばかり募る日々。

いつ終わるの…?

何度もこの言葉が頭をよぎった。

唯一あなたがすぐ泣き止む方法が

おしゃぶりだった。

それに気づいてからは

口封じのごとくおしゃぶりに頼った。

けれど3人目の妊娠が発覚し。

いよいよ2歳になる。という時

おしゃぶりとお別れをする日が来た。

それはそれは壮絶な

もはや戦だった。

ママもパパもあなたもおしゃぶりに

依存しすぎいていたからか

辞めるのにも時間がかかった。

娘がいて、あなたもいて、妊婦。

この状況に日に日に心身が疲れていった。

抱っこ紐を付けたまま寝落ちしたことも

何度もあった。

座ると起きて泣くあなたを夜中に

1~2時間抱っこも当たり前。

泣くあなたの顔を見ては

ママも一緒になって泣いていた。

泣きたいのはこっちだよ…

そう毎日思った。

毎日本当に必死だった。

当時のママは

育児しんどい。しかなかった。

でも…

でもね…

あなたへの愛や、尊さは変わらなかった。

今思えば疲れが絶頂まで達して

究極の思考に陥っていたのかもしれない。

あまりにも、この普通がしんどくて

逃げたくて、ひとりになりたくて

ママを辞めたくて…

心身共にピークに達した時

泣くのが辛いのは“あなた”の方だった。

と気がついた。

毎日どうしていいのか泣くことしかまだ

伝えるすべを知らないあなたに

抱っこはしてもらえても

イライラした雰囲気や呆れたママの顔は

どんな風に映っているのか。

泣いていて助けを求めているはずなのに

嫌な顔をされ、煙たがられ

怒られるあなたの気持ちに

寄り添えてなかった。

そう考えられるようになってからは

一気に楽になっていった。

あなたは、ただ単に泣きたいだけだったかも

知れないけれど、オーバーに

汲み取ることにしたのだ。

泣き始めたあなたを胸に

「大丈夫。ママいるよ。大丈夫」となだめ

泣くことが悪いことではない。と

「泣きたくなる時もあるよね。でも大丈夫。もう大丈夫よ」

抱っこしながら頭を撫で

腕や足をマッサージし深い眠りにつくまで

とことんあなたと向き合う決意をした。

あなたをもっと教えて…?

あなたの気持ちを知りたくて

たくさん触れ合って探った。

何よりもママの背中を支えたのは

あなたを抱っこできるのは

“今しかない”という期限付きのスキンシップだと

本当に思えたから。

当時のママは早く自立してほしい。と

先を見過ぎていたのかもしれない。

でも、泣かなくなったら?

大きくなったら自然と減っていく。

当り前のことだけど

そう思ったら急に寂しくなった。

それからは積極的に抱っこした。

思い切り抱きしめ、抱っこを堪能した。

「よっしゃー!抱っこキター!!」と

思えるほどポジティブに考えられるようになった。

想いは伝わった。

そう思いあなたと接するようになってから

あなたもすごく変わった。

泣いても泣く時間が短くなり

自傷行為はどんどん減っていき

2歳になるころにはなくなった。

まだまだ泣き虫なあなただけど

以前より断然笑顔でいることが増えた。

「病気なんじゃ?」

と心配したこともあったけど

今では気にすることが無いくらい

あなたは目まぐるしい成長をしている。

当時のママには余裕がなかった。

全てママの責任だ。

〇〇させちゃいけない。

自立できるようしつけなきゃ。

これがすごく強かった。

力んでたんだよね…

でも今ならわかる…

あなたの…

あなたたちの

笑顔に変えられるものは何もない。

しつけなんかよりも

もっともっとあたりまえで

大切なことをあなたがママに教えてくれた。

命の尊さも、愛し方も

あなたたちから教わった。

ありがとう。

ママいるよ。大丈夫。

“産まれてきてくれてありがとう”

ただそれを毎日伝えよう。

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